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マニピュレーター方法論2 【マニピュレート】

「マニピュレーター方法論1」で紹介した作業は全てスタジオリハーサル初日までに終わらせておく内容でした。
文章量の多さからもその修羅場具合が少し分かってもらえたかなと思います。

さあ、遂にリハ初日です!




サウンドチェック


一緒に演奏するメンバー、ディレクター、プロデューサー、みんなスタジオに集合です。

顔合わせと名刺交換がおわって、楽器のセッティング!

ちなみに、ミュージシャンは皆プロなので、機材もなかなかの多さです。
&スタジオ内に入る人数も10人以上になるので、60~90畳のスタジオをロックアウトするのが一般的のようです。
最初は広すぎて動揺しましたが、だいぶ慣れました。笑





さて、マニピュレーターは机に陣取り、パソコンを広げ、オーディオインターフェースからPA卓へ繋げます。
写真は幕末Rockでの現場のものなので、シンセも配置していますが今回の記事ではマニピュにフォーカスしますね。

本番ではメインマインとバックアップマシンの2台体制で組みますが、
リハーサルでは操作性を一番に考えて、「1台セッティング」です。
600トラック、さらにwaves挿しまくりですが、
SSDを中心としたパワフルなPCにカスタマイズしているので止まることはまず無いです。

準備が終わったらサウンドチェックです。
まずはマニピュから。
音が問題なく再生されるかどうか。
アウトプットへのルーティングは間違っていないか。

サウンドチェックしながら、同時に、部屋鳴りの特性も掴む様にしています。
60~90畳ともなると、立ち位置によって聴こえてくる音が全く違います。
どの位置での響きを基準とするかを考えておきます。

5分もあればチェックは終わります。

次はドラムです。




ドラム・ギター・ベースのサウンドチェック


組まれたドラムセットにマイクも立てられ、一つずつチェックしていきます。
ドラマーはクリックをイヤホンでモニターするため、転がし(足元のモニタースピーカー)は使わないことが多いです。
なので、自分のドラムの音もイヤホンの中へ返してもらう必要があります。
このサウンドチェックの時点でモニターのMIXもPA側で行います。





僕はドラムのチューニングについてもチェックしておきます。
生楽器のステージとなると、太鼓の重心が高いか低いかでだいぶ印象が変わってきます。
全体を見渡し把握できるマニピュレーターとして、
よりレベルの高いステージングのためにサウンドへのディスカッションは必要だと思っています。

ギターについても同様に、音質のバランスや、ディレイ・リバーブの質感を相談します。




1曲目


楽器毎のチェックが終わり、全員で合わせて全体のバランスをチェックします。
演奏したテイクを録音し、プレイバックしたりします。
リハは基本、録音するものなので、録音バランスも大事です。

1曲目のセレクトは同期も沢山のトラックが再生されていて、そのライブの中心・基準となるようなサウンドの曲、
いわゆるシングル曲なんかが向いています。




ひたすら曲の確認作業


1曲につき2・3回ずつ確認していきます。
グルーブの調整、クイの位置の確認、音色の調整、そして同期サウンドの調整ですね。
想定で再MIXしていた同期ですが、実際に生バンドと合わせると誤差が出てきます。
(大音量がゆえに誤差も大きくなるイメージです)
アナライザー・outputボリューム・波形の位置など、画面を監視しながらヘッドフォンorイヤホンで音バランスに集中します。
大音量のスタジオの中では、イヤホンの方が密閉率が高いため、実はクリアにバランスが聴き取れたりします。

時に、ボイスカウントの位置を修正したり、同期ギターのトラックをON OFFしたり、曲間の秒数を短くしたり、
曲毎に音量を上げ下げしたり、演奏しやすいように調整していきます。
休憩もちょくちょくありますが、合計8時間くらいの作業になるので集中力が必要です。
しっかり水分と糖分を摂りましょう。




リハ初日おわり


リハ後、練習にて録音した曲データをもらって次回のリハに備えます。
スタジオでは聴こえなかった部分も冷静に聴くことができます。
バンドメンバー以外の、例えばボーカリスト・ダンサー・VJなどに聴いておいてもらうために、
その音源をマスタリングすることもあります。
ライブアレンジですから情報共有が必要なのです。


という流れのリハを何回か行い、曲の完成度を上げていきます。
そしていざ本番です!






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