studio tkr

BLOG

歌の表現方法 【アーティスト】

ボーカル、ひいては「歌」の要素を考えます。
以下のようなものが挙げられると思います。

 

・ピッチ
・タイミング
・声質
・声量
・アタック
・語尾表現
・歌いだし表現

 

ピッチとタイミングはEDIT作業でかなりの修正が可能。
他の要素も基本的には弄れます。

 

でも直せるから歌えなくてもいいというわけではありません。
上手く歌えるに越したことはないのです。
上手い歌はエディットの精度もあがり、仕上がりがとてもナチュラルです。
なにより、ボーカルの説得力が増します。
生歌のライブでもしっかりとメロディを伝えることが出来ます。
良いことだらけです。
では上記の構成要素がどんなものか一つずつ見ていきましょう。

 

ピッチ

 

音程ですね。カラオケの採点システムが表示されるなんていうテレビ番組も登場し、
「歌の上手い人=音程が正確に取れる人」という偏った認識が圧倒的に広まりました。
しかし上手さはピッチだけじゃありません。
むしろ「上手い人」は少し独特なピッチ感を持っていることが多く、正確なピッチが絶対ではないのです。

 

とはいえ、いわゆるケロケロボイスが音楽シーンで流行ったりしたことも原因なのか、
耳が「超正確なピッチ」に慣れすぎて、その修正具合は年々、ハードになってきている気がします。
個人的にもハードめに直した方が好きです。
ソフトに直すと「ピッチもう少し直して」とフェードバックされることが多いです。
リスナーだけでなく、ディレクター側の耳も、時代の「超正確なピッチ」に慣れたということですね。

 

 

タイミング

 

いわゆるリズム感です。
ピッチがいくら良くてもタイミングがふらふらしていると曲が失速します。
スロウなバラードなんかはもたってるくらいがちょうど良かったりもしますが、走るのは大抵どんな曲でもダメです。
タイミングはエディット作業でばっちり修正できます。
複数ボーカル曲ではそれぞれのタイミングを揃えることがマストです。

 

 

声質

 

根本的な声質はどうにもなりませんが、
発声の仕方をボイトレなどで学ぶことにより変える(というか変わる)ことが可能です。
MIXにて、印象操作できますが、基本的には生まれ持った声のカラーと、やはり発声の練習次第でしょう。

 

 

声量

 

声の大きさですね。
よく「歌に感情をこめてー」なんていいますが、これは声量のコントロールによるところが大きく占めます。
Aメロ頭、弱めの声から段々と入り込み大きくなる、なんて音量のアプローチもよくあります。
でかい声で歌ったほうが上手く聴こえると思ってる人も多いですが、そんなことありません。
むしろ、しっかりとした発声をするボーカリストの声量はあまり大きくありません。
様々な表現のコントロールが効くので無闇に大きくする必要がないというほうが正しいでしょうか。
曲のオケにぴたりと合う、空気を読む力が必要とされます。

 

 

アタック

 

発声の瞬間、頭のアタック感。
「カ行」や「タ行」はもともとアタックが強い子音なので、そのままアタックが付きやすいですが、
例えば「あ」なんかでもアタックを付けられるボーカリストがいます。
MIX作業にて、声にはアタックをつける方向で大概混ぜられますので、
アタックを付けて歌えたほうが音楽制作的にもグッドです。
勿論、上手くも聴こえます。

 

しかし、アタックはあればある程良いというわけでもなく、
アタックの出過ぎるボーカルトラックにはアタックを抑える設定のcompを挿したりします。

 

僕がボーカル録りのディレクションをするとき、アタック感の指示を多く出します。
歌の存在感にもつながるので、アタックが立つような(これも発声ですね)歌い方をぜひ意識してみてください。

 

 

語尾表現

 

フレーズの終わり等に見られる歌唱表現。
例えば、「ビブラート」ですね。音程を揺らす表現です。
どんなジャンルにも合います。ビブラート出せたほうが、やはり人々は「上手い」と感じるようです。

 

他にも「しゃくり上げ」がありますね。何故か女性声優って必ずしゃくり上げて歌うイメージ。
最後に一瞬音程をあげるようにする表現です。かわいさやセクシーさを演出できます。アイドル曲でも武器になりますね。

 

「ビブラートさせながらフォールダウン」なんて技もあります。
声量と続き、歌の感情を表現できるテクニックだと思います。

 

 

歌いだし表現

 

フレーズの始めに見られる表現方法。
少し低い音程から当ててきたり、逆に高い位置からしゃくり下げて当ててきたりします。
前者は誰でも意識せずに普通にできること。
後者は全体の5%くらいでしょうか。しゃくり下げを使えるボーカリストに、僕は今まで数人しか逢ったことがありません。
個人的にめちゃくちゃ好きな表現方法です。

僕が編曲とMIXを担当しているfizz.の楽曲「Doki!Doki!Summer soul!」を参考に、
10:42、「喋るタイミング」の「ミン」ですね。
「タイ」の音程から繋がるように一瞬で下がりながら「ミン」と発声しています。

なかなか出逢えない表現方法な分、スパイスが効いているように感じ、歌が生き生き聴こえます。
男性ボーカリストでもこの技を使える人はいます。

 

 


 

 

 

ボーカルトリートメント、いわばEDITにて、様々な要素が修正可能な昨今、
歌唱力が軽視されがちですが、やはり上手いに越した事はないのです。
「歌」の要素を知り、向き合い、レベルアップに活かしましょう!

 

勿論、studio tkrではハイレベルなボーカルトリートメントを提供しております。
EDIT後は、自分の歌の理想像をリスニングすることにより、
ボーカル本人の歌唱力も何故か上がってしまう魔法のトリートメントです。
ぜひお気軽にご依頼ください。






tkr

studio tkr