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kickのEQ 【MIX】

「音圧を上げる本当の方法」でも記しましたが、
demo mix等でよく、低域が足りない音源を耳にすることがあります。
楽曲のパワー感・音圧感を出すにはまず、しっかりとした低域が曲を満たしていることが必須条件です。
勿論、闇雲にLowを突きまくると、マスキングを起こし、ギターもスネアもシンバルも抜けが悪くなり、
曲全体が曇って聴こえるので適度に低域のパワーを出す必要があります。

 

低域といえばキックとベースですが、ベースはさほど難しくない印象です。
こんなこと言うとベーシストから怒られるかもしれないけど。笑
ベースは比較的、どんな音でも正解に聴こえる気がします。
正解の音の幅が広い。
低域も適度に潤いつつ、ラインも見える音であればしっかり混ざってくれます。

 

で、ベースよりkickの方が難しく、僕は大事だと思います。
ベースは比較的、低域を隙間無く満たすような鳴り方をしますが、
kickは、アクセント箇所のみ。しかも音のリリースも早めなので、隙間ありまくりです。
なので、kickが鳴った「瞬間」は、「隙間」と比べ、
音の圧力が瞬間的に増すことになり、それが曲のボトム感として印象付けるのだと思います。

 

さて、前置きはこれくらいに。
では実際にどうすればkickのボトム感を表現できるのか。
ここではcompには触れず、EQにだけスポットを当ててみましょう。

 

 

低域

 

まず、ブーストするとして、

「60Hz」と「80Hz」が大事。

違いはなにか。簡単にざっくり言葉で表すと、

 

60Hz:圧力・体感的なLow
80Hz:パワー・聴感上のLow

 

です。

ライブハウスなんかでkickの音が「グッ!」「グッ!」とまるで腹にパンチしてくるような感覚を覚えますが、
あれが体感的なLow。
目に見えない圧力というか、体で感じる部分の低域になります。
kickはこれが命!
この低域がだいたい60Hzです。(CDのMIXでは)

 

この圧力的なLowを出せないライブハウスは僕はあまり好きではありません。
まさに音楽の醍醐味の部分ですね。
CDにおいてもこの60Hzは重要です。
曲の圧力・感覚的に「太いなー!」と思わせることができます。

 

対する80Hz。
これは、いざスピーカーで鳴らした時、イヤホンで聴いた時に、
「お、Low出てるな」とはっきり認識できる低域です。
なのであまり体感的な「圧力」はありませんが、はっきり「聴こえる」低域なので
パワー感を演出できます。

 

60Hzが充分に出ているkickでも80Hzが出ていなければ圧力しか感じることができないので、
イヤホンで聴いた時に細く聴こえたりします。

逆に80HZだけが出ているkickは、うわべだけのパワー感で、ボトムのリッチな潤いは感じられません。

どちらも重要な低域成分なのです。

 

 

高域

 

低域を充分に出しても、他のトラックと合わせて聴くとkickがぼやけて聴こえることがあります。
その場合は2kHz~4kHzの出番です。
いわゆるアタックを司る部分ですね。
硬めなkickにしたければ2k付近、
ベチベチっとさせたければ4k付近をブースト。
これでアタックが強調され、つられてLow部分も不思議とはっきり聴こえるようになります。

 

 

中域

 

60・80・2k~4kを強調するということは、
その間に存在する音はあまり歓迎されていないことがわかります。

つまり、200~600Hz付近です。

kickの素材によって、60や80を強調するとモコモコしてきます。
この場合は200~600Hzあたりに犯人がいます。
適度にカットしてあげることで相対的に60・80・2k~4kが持ち上がり、有効だということが分かります。

 

 


 

 

ということで曲のボトム感をしっかり演出するために
まずはkickです!
kickが楽曲に命を吹き込みます。

僕も毎回MIXの度に考えさせられる部分なのでしっかり集中してkickを仕上げたいと思います。






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