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ドラム打ち込み技 【編曲】 

僕はバンド活動時代、ドラムを叩いていました。
中学生の頃に始め、今でも友達とリハスタ入って叩いたりしています。
なのでドラムのサウンドメイクや打ち込みの感覚は、得意分野・専門分野です。
(ドラムトラックは編曲を習得する上で、一つの難関門です)

 

さて、今回はドラム、特にROCKジャンルでの打ち込みについて、
実際のドラマー達の映像を観て考えてみましょう。

 

 

どうでしょう?

 

まず一番に、ベロシティ(音量)。
スネアもハットもいつでも全力です。
タム回しも基本、腕も振りが小さくなることはありません。
クラッシュも本気です。
3つ目の方なんて、このドラムなんで壊れないの?ってくらいの音量・迫力です。

 

よく、ドラムの教則本にも「力を抜いて~」と書いてありますが、
力を抜いてもベロシティ(音量)は「全開」なのです。
それがROCKのサウンドです。

 

なのでドラムの打ち込みも基本はベロシティ120です。
(120を超えるとさすがに力んだ音になり使い辛い)

 

勿論、ハットやゴーストノートなどは、しっかりと強弱付ける必要がありますが、
スネアの2拍4拍、キック、クラッシュ、タム等、フルショット時は120で打ち込んで吉です。

 

歌唱も小さな声より大きな声で歌ったほうが芯が通って説得力のある「鳴り」になりますが
ROCKドラムにも同じことが言えると思います。
このくらいの音量で鳴らすと、ぐっと締まった低域と、芯のあるアタックサウンドが引き出せて、
MIXにおいても混ぜやすくなります。

 

生ドラムを叩く上でも、この考えは基本です。
タイトで安心感のあるドラムは、「鳴らしきる」ことが必須です。

 

 

さて次は、僕が世界一好きなドラマー「ギャビンハリソン」。
確かにベロシティ120です。
しかも毎回のショットが「ぶれない」ので、本当に2拍4拍毎回120のスネアです。

 

そうです。ベロシティをランダマイズする必要もなくなりました。
120のベタ打ちスネア。
意外にもそれが一番プロに近い音なのです。

 

逆に考えると、ドラマー達は、こぞって、
「いかにショットと鳴りを安定させられるか」
を追求しているので、正に120ベタ打ちは「理想」といえるのかもしれません。

 

さて、タイミングに関しても同様に、ドラマー達はグルーブの正確性を極めようとします。
なのでグリッドに沿った打ち込みが彼らの「理想系」なのです。
しかし、さすがに1msecのずれもなくグリッドにぴったり合わせ5分間叩き続けるドラマーなんて存在しません。
人間だからという理由の他、プロなりのタイム感が独自のグルーブを生んでいるということも理由に挙げられるでしょう。

 

さて、それをどう再現するか。

 

まずは彼らの理想系、何もずらすことなく、ベタ打ちです。
しかし「本物のサウンド」は、その理想系にはどうしてもなり得ないので、ランダマイズにてタイミングをずらします。
僕の場合は±5msecくらいの幅でランダマイズをかけてしまいます。

 

この作業を通すことにより、打ち込みサウンドが、ぐっとリアリティを帯びてきます。

 

さらに、16分裏を20%程スウィングさせるのもコツです。
ギャビンハリソンや一流のドラマーはスクエアな16分よりも、
少しだけハネた(スウィングした)リズムを叩き出します。
これが、あのなんとも心地よい粘り気のある「グルーブ」の正体です。

 

さて、これでROCKドラムの打ち込みが「本物」に近付きます。
是非お試しあれ!






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