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2016/09/02
世の中、歌の上手い人は沢山います。
僕は歌のEDIT・MIXをだいたい年間100曲は担当しているので
「上手い歌」を数多く聴いてきました。
今の時代、メジャーアーティストでもピッチやタイミングのトリートメントは必須です。
サウンド感の定義が時代と共に移ってきているのですね。
しかし、なかには歌が上手すぎて、エディットをすると逆に下手に聴こえてしまう、というボーカリストもいます。
そういう方は、本当に超一流の歌唱をします。
ややずれたピッチ感も味であり、意図的にカラー感を出し、さらにメロディを破綻させないという、
もはや才能レベルだと感じます。
さて、いくら歌が上手くても、それが「抜けがいい声」であるとは限りません。
抜けがいい声とは、楽曲に歌を乗せたとき、すっと分離良く聴こえ、明瞭度が高く、歌詞も比較的伝わりやすい
といったイメージでしょうか。
エンジニア的に表現すると、充分に素の状態で高域がでており、低域とのバランスがいいサウンド、といった具合です。
実は、これ、すごい重要だと僕は思っています。
歌がそんなに上手くなくて、声量もあまり出せない人でも、声の抜けが抜群に良いと、ぐっと魅力的に聴こえてくるのです。
女性アイドルや女性声優の歌に見られる方向性でしょうか。
CDにする際には、リスナーにとっても、好感が持てるボーカルサウンドとなります。
抜けの良い声の発生方法。
僕がレコーディングで提案する方法は実にシンプルです。
「口を横に開くこと」です。
僕はボーカリストではないのですが、
多くのボーカリストを見て、録って、聴いて、MIXしてきて、分かったのが、
口の開き方が2通りに分けられるということです。
口を縦に開こうとする歌い方。
これは、声量重視、腹式呼吸を最大限に活かす歌い方です。
しっかりとおなかから出た声を、喉や口で勢いをとめることなく、そのまま出してあげることができ、
圧倒的な声量、太さもありピッチも安定します。
しかし、どちらかというとオペラとかクラシックといった雰囲気を感じるというか、
そういう「本物感」のある声なんですね。
おそらく、オペラとかクラシックって声の抜けはもとめられてないと思います。
それよりも声量・安定性・響き・馴染みやすさ、に重点を置いた発声方法といえるでしょう。
そして、本題です。
横に開くことが抜け感を作る方法です。
前述のように、しっかりと腹式呼吸での声量ある発声ができる場合、口を少し横に開くように意識するだけで
簡単に高域がプラスされ楽曲の中でも埋もれない声質になるのです。
試しに口を縦に開いて「あいうえお」、次に口を横に開いて同様に「あいうえお」と発音してみてください。
横に開いたほうが、圧倒的に聴き取りやすく、明るく聴こえるはずです。
音の出口である「口の形」次第でサウンド感が変わるのですね。
しかし、なんでもかんでも横に開けばいいというわけではないと思います。
この方法には「声が細くなりがち」というデメリットがあるからです。
声量のとても小さいボーカリストがこれをやってしまうと、ますます弱々しい響きになってしまいます。
声量のある人には抜群にオススメです!
特に女性のファルセットを出すときにはマストです。
キレイで透き通る、空気感のあるファルセットが出せます。
ぜひお試しください!
tkr